埋文データ
調査の成果


 今回の調査は、周溝の確認と前庭部の構造の把握を主眼として行われ、その結果、次の様なことがわかりました。
 1点目は、周溝の存在と形状です。東側石室から垂直に設定したトレンチ内において、周溝が1条確認されました。幅約4.5m、深さ0.9mを測ります。崖線部までの距離から、周溝は一重と推定され、同時期の古墳に多い二重周溝は、少なくとも南側には築かれなかったと考えられます。周溝内からは須恵器の甕や筑波石の破片に混じって、龍角寺の創建時(7世紀後半)に使用されたと考えられる瓦が出土しました。
 2点目は、石室前方の構造です。石室の前にはしきみ石によって区画された短い羨道部が設けられていたことが新たに確認されたほか、板石をハの字状に配置した前庭部を有していたことがわかりました。いずれも貝化石砂岩ではなく雲母片岩が使用されていました。また、羨道部からは上下2層の床面が確認されました。これは追葬時に床面を上部に再構築したものと考えられます。
岩屋古墳

 

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